2015東京モーターショー 「Three Wheeler(スリーホイラー)」

モーターショー(2015東京モーターショー)を見てきた。国内外のメーカー数社が目玉となるコンセプトカーを用意していたが、コンセプトカーはとかく先走り過ぎというか、未来感を演出し過ぎていて現実味がゼロで、自動車として成立しないだろうというモデルも多く見受けられる。筆者はそんな「置物」には興味は無く、もうすぐ市販化されるであろう現実的な(市販を視野に入れている)コンセプトカーが好きだ。その中でもマツダのコンセプトカー「RX-VISION」は、程よく現実的なシルエットで一番グッと来た。ロングノーズ、ショートデッキなスポーツカー王道シルエットで「S30系Z的」なカッコ良さも感じながら近未来的なニュアンスもきちんとあり良い感じだ。このまま発売する事は無いだろうが、もしこのルックスでロータリーターボE/Gが搭載されて発売されたなら、爆発的にヒットする事だろう。

さて、今回のモーターショーで筆者が特に熱いと感じたのが、ヤマハ「トリシティ」「MWT-9」、ホンダ「NEOWING」、ポラリス「SLINGSHOT SL」、そしてCan-Amからは数モデルが展示されていた、機構は違うがフロント2輪、リア1輪のいわゆる「Three Wheeler(スリーホイラー)」達だ。
MWT-9

2輪車(バイクに限らず自転車でも)には、常に付きまとう厄介な問題がある。それは「転倒の危険性」だ。雨、雪、浮き砂、砂利、マンホール、白線、横から飛び出てくる車、落下物などなど。走っているとスリップダウン(フロントタイヤのグリップ力が失われる)につながる様々な事象が待ち受けている。2018年10月から2輪車のABSの装着が義務化されたが、残念な事にそれぐらい2輪車のブレーキングは難しいという事だ。だが、フロントタイヤが1本だけでは無く2本もあれば単純に考えて接地面積が2倍(2ヶ所)になる訳で、つまりグリップ力が失われる可能性はこれもまた単純に考えて1/2以下になると思われる。また2輪あるおかげで例えグリップ力を失っても即転倒とはなりづらいだろう。ABSと組み合わせればこれほど転倒のリスクを減らせる機構は他には考えられないのではないだろうか。

筆者はこの中でも特にヤマハ「MWT-9」が気になったのだが、その理由は「すり抜けが出来る事」だ。もちろん渋滞している4輪の間を縫う様に走る事を勧める訳ではないのだが、2輪車乗りとして「すり抜けが出来るけどしない」のと「すり抜けが出来ない」は雲泥の差で、慢性的な渋滞事情の都内などでは、トレッドの広い「4輪車的」なフロント足回りを持つスリーホイラーは、車幅が広くなりどうしても取り回しが悪くなり利便性が大きく損なわれてしまうだろう。元々2輪車好きという好みの問題もあるかもしれないが、筆者は「2輪車的」なナロートレッドのスリーホイラーが良いのだ。
「車体のバンクが出来る、出来ない」どちらのタイプにもそれぞれ面白い操縦性の味があると思うが、フロント2輪に対してリア1輪という構造は、すでにリアタイヤのグリップ力が負けている訳で、その上さらにフロントのトレッドが広くなるとグリップバランスはもっと悪くなると思われる。英国「TOP GEAR」の番組内でモーガンのスリーホイラーをサーキットに持ち込んでいたが、とんでもなくテールハッピーな操縦性だった。
現在、市販されている「2輪車的」なスリーホイラーは、ピアジオ「MP3」、ジレラ「Fuoco」、ヤマハ「トリシティ」などがある。ただしそれらは無段階変速(スクータータイプ)E/Gのスリーホイラーだ。2輪車的でマニュアル変速のスリーホイラーは、恐らく「MWT-9」が世界初ではないかと思う。参考出品車両だったが、上に埋め込んである実際の走行動画がすでにあるので、トリシティに続く第二弾としてこのモデルがリリースされるのは確実かと想像する。今から販売が待ち遠しい。

Ninja ZX-10R
この絵でご飯3杯ぐらいいけそうな気がする。(変態)