ND型ロードスター考察

先日、ND型ロードスターに乗る機会があった。NDロードスターはここ最近の新型車の中で1位2位を争う注目車種であり、レビュー記事はそれこそ至る所で書かれている。より詳しいレビューは他に任せるとして、今更観はあるが筆者の思った点を書きたいと思う。
まずは、写真のE/G搭載位置を見て頂きたいのだが、前モデルのNC型ロードスターでもかなり後ろかつ下げた位置にE/Gが搭載されていたが、更に攻めた搭載位置になっている。
NDロードスターE/Gルーム E/Gがバルクヘッドに刺さっている様だ。
E/G単体の軽さ、搭載位置、また、ボンネット、トランクリッド、フロントフェンダーのアルミ化の効果だと思うが、フロントの入りが非常に軽い。借り物でガチ走りは出来なかったが、恐ろしいほどよく曲がるのはこの辺の造り込みの成果だろう。特にFR車のフロントの重心の位置と高さは、それこそ走行挙動が全く違ってくるぐらい大事なポイントだ。E/Gマウントを加工してE/G搭載位置を下げたり、FRPやカーボン製の軽量ボンネットに交換するなど、時間とお金のかかる涙ぐましい努力を今まではしてきたが、このレイアウトならその辺りを変更する必要はないと思う。バッテリーが鼻先に搭載されているので、これは助手席の足元やトランクなどに移設するとさらにフロントの動きが良くなるはずだ。レースレギュレーションに引っかかる場合は、最近流行りのリチウムイオンバッテリーに交換して軽量化だ。
足回りは万人向けなセッティングで、初期の動きが柔らかくてスポーツカーと思えないぐらい乗り心地が良い反面、120-130kmを超えてくると足がウニャウニャしてコントロールが難しくなってくる。この辺はステージに合わせた硬いバネ(車高調)や1.5or2WAYの機械式LSDを入れる事でより「熱い」車に仕上がるだろう。
フロントフェンダー 3-4cm下げるとルックスが良いかと思う
概ね素晴らしい出来な印象だったのだが、モアトルク主義者の筆者はやはり1.5L E/Gではトルクが足らないと感じた。1.5L E/Gは回せば決して遅くはない、いやむしろ1.5Lと思えない程速いと感じるほどではあるが、やはりアクセルで積極的に姿勢をコントロール出来る様なトルクフルな感じでは無い。このE/Gで速いドリフトを維持させるのは難しそうだ。思い返すと、RX-8が似たようなフィーリングだったように思う。車体も足も良いのだが、肝心のE/Gがいかんせんトルクが薄くて、FD型RX-7の暴力的な加速と比べるまでもなくスピードの乗り(回転上昇)がじれったい。RX-8に過給機が付いていればどれだけ面白い車だったか。もし当時のマツダが、親会社であるフォードの顔色を伺う事なく自由に開発が出来たなら、かなりの名車が誕生していただろうに。。と当時感じた事を思い出した。

話は変わるが、最近のマツダ車は、デザインももちろんだが、何よりディーゼルE/Gが素晴らしい。筆者は2.2Lディーゼルターボ搭載車を所有しているが、42kgのトルクはかなりの物だ。しかも2000回転がトルクピークで実用的。燃費も抜群。余りにも良いE/Gなので、マツダの開発者に「このE/Gを高回転型にチューニングしてRX-8に積んだら最強でないか?」と聞いた事がある。元々ロータリーE/Gを搭載しているRX-8は極端にボンネット高が低い為「そもそも2.2LディーゼルE/Gを載せる事が不可能。」との事だった。残念。
そこで、筆者の希望はずばり「NDロードスター&1.5LディーゼルターボE/G」だ。NDロードスターは、北米では2L E/Gを搭載しているとの事なので、恐らくそのうち日本国内でも2L搭載車がラインナップされるだろう。それはそれで喜ばしい事ではあるが、筆者からするとそれでも物足りない。2L E/Gにターボを搭載しても良いのだが、折角マツダは世界でも稀有な小排気量ディーゼルE/Gの「1.5LディーゼルターボE/G」を持っているのだから、これを高回転型のスポーツディーゼルE/Gに仕立てて搭載すれば、1tちょいの車重でトルク約30kgのまさに「イージードリフトマシン」が出来上がるのではないだろうか。CX-3にはMT設定があるのでもちろんMT設定が可能だし、ディーゼルE/Gとターボは相性が良くリッチトルクだ、という性能ウンヌン以前に、ディーゼルE/Gは熱効率や燃料代の点から見て燃費が良いという「エコE/G」という絶対正義があるのだから、そこを前面に押し出せば、ロータリー社会情勢から見てもリリースは不可能ではないはずだ。いやまてよ。これはまさにジムカーナ最強マシンなのではないだろうか。
販売が好調とはいえ、今現在のマツダの体力では、そんな余計?な車種をラインナップする余裕はまだ無いだろうと想像する。だが、もたもたしていると海外メーカー勢に先を越されてしまう。VWはゴルフのディーゼルE/Gモデルをラインナップしたようだし、BMW、メルセデス、ボルボもディーゼルE/Gモデルのラインナップに力を入れている。「(ライトウェイト)ディーゼルピュアスポーツカー」。トルクバンドが1500-4000回転で5000回転からレッドゾーンが始まるイージーなピュア(?)スポーツカーがあっても良いではないか。昨今の技術なら充分このパッケージングが成立すると思うのだがいかがだろうか。