サンワサプライ社は、以前からワットチェッカーを精力的にリリースしているメーカーだ。
業務用の高い機器ばかりしか無い電力計製品事情の中で、コンシューマ向けに落とし込んだ製品をリリースする事は素晴らしい事だと思う。
だが、惜しいかな、今までリリースされて来た電力計は「タップ式」つまり、コンセントに差し込んで、そこに接続した機器だけの電力を計測できる「部分的な」電力計であった。
もちろんそういった需要もあるのだろうが、コンセント一か所の電力のみを測ってもどこか「弱く」は無いだろうか。
サンワサプライ社の営業の方には非常に申し訳ないが、タップ式の電力計を案内される度に、筆者は苦言を呈してきた。
全体を見れる電力計が欲しいと。
そして、ついにリリースされたクランプ式の電力計「CHE-TSTCLW」だ!
比較的安価(とは言ってもある程度の値段はしてしまうが)に、家、または会社全体の電力消費をリアルタイムにモニターする事が出来る素晴らしい製品だ。
このコンセプトだけでも「いいね!」ボタンを押したいぐらいだ。
取り付けに関して、難しい事は全く無い。
ブレーカー部の+-配線に1つ、または2つのクランプを取り付けるだけで、後はモニター部をいつも目の届く場所に設置するだけ。以上だ。
まず初期設定を行う。
筆者は関東なので、時計の設定ぐらいで後はほぼ初期状態で大丈夫だった。
関東以外の場所で使用する時は、その地域の電力の価格を入力する必要がある。
ユニークな設定がアラームの設定だ。
設定した消費電力を超えるとアラームが鳴るように設定する事が可能だ。
例えば30A契約の家庭だったら25A(2500W)を超えるとアラームが鳴るように設定すれば、突然ブレーカーが落ちるような事態が避けれるだろう。
ただし、後篇に記述するが、このアラーム、かなり大きな音で鳴るので、初めて作動させるとちょっとビックリするかもしれない。
1ヶ月の合計消費電力なら、電力会社の検針票を見れば分かる。
だが、このモニターを置くことによって、リアルタイムで消費電力が分かり、そして意識する様になる。
まずこれだけでも、省エネ意識の向上に繋がっていると思う。
筆者の事務所は、デスクトップPCが1台、23インチ液晶ディスプレイが2台、オーディオ(小さなBOSEのアンプ)、インクジェットプリンター、それと扇風機が1台に2ドアの小さめの冷蔵庫に固定電話。
常時動いている電気機器はこのぐらいで、暗くなると1-2ヶ所の蛍光灯を点けるぐらいだろう。
さて、まずは、筆者の事務所の使用電力状況を調べてみよう。
通常時は大体250W~320Wぐらいの電力を消費している事が分かる。
それでは、この消費電力の内訳を調べてみよう。
消費電力1位:蛍光灯(140W)
消費電力2位:PC(50W)
消費電力3位:扇風機(40W)
筆者は一人で仕事をしているので、一ヶ所だけ蛍光灯を付けて仕事をする事が多い。
この蛍光灯は、37Wx2本の蛍光灯なのだが、点灯させてワットモニターで確認すると意外にも約140W!も消費しているのだ。
単純に考えれば、37Wx2=74Wの消費電力でないのだろうか?
2倍もの消費電力の訳は一体何故なのだろう。
筆者の事務所は旧式のグロースタート式(点灯管式)だ。
非常にアナログなスターター型は、安定器の動作等にも電力を消費する為、その分余計な電力が使われてしまうのだ。
実際には、安定器などで使用される電力は「無効電力」と言って電気料金には計上されないのだが、それにしても無駄な電気がこんなに使われているとは。
有効電力、無効電力、力率など、電気の世界は複雑すぎてハッキリ言って筆者には僅かにしか理解する事が出来なかったが、
力率の低い、つまり効率の悪い照明機器は、省エネの観点から見て良い事では無い事は一目瞭然だ。
常時使用している機器なのだから、もし読者の家や事務所が賃貸などでなければ、まずは最近流行りのLED型などの効率の良い照明器具に変更する事をお勧めする。
これだけでも照明機器の消費電力は恐らく半分(有効電力のみでも)にはなるであろう。
後編に続く